空室対策

賃貸経営に欠かせない空室対策とは?原因と対策を徹底的に解説!

賃貸物件を用いて不動産の経営を行う際、安定して収入を得るためには空室を作らないことが重要です。
しかし、経営者のなかには「どうしても空室ができてしまう」「空室の埋め方が分からない」といった方もいらっしゃるかと思います。
本記事では、賃貸経営において重要な要素である空室対策について、原因と対策を解説します。

空室対策とは?

空室対策とは

空室対策とは、オーナーが賃貸物件に空室を作らないために行う対策です。
具体的には退去者が出た部屋へすぐに入居してもらうことや、入居者に長く入居してもらうことが対策になります。
空室の部屋が多かったり期間が長かったりするとその分家賃収入が減るため、オーナーにとって空室対策は重要な課題のひとつです。

物件が空室になる原因

物件が空室になる原因

空室物件が発生する原因には、下記のようなものが挙げられます。

立地が良くない

物件探しをしている人は、駅から遠かったり、道が舗装されていなかったりといった立地が良くない物件の優先度は他の物件に比べて低いものです。
また、治安が悪いエリアや、工場などの騒音を発する施設が近くにある物件も立地条件が良くないと言えます。
病院や学校、スーパーから遠い物件の賃料が比較的安い理由には、立地が良くないことも要因に含まれています。

設備や美観が古い

築年数が古い賃貸物件は、設備の機能低下や外観の汚れが目立つようになり、入居者が集まりにくいものです。
しかし、こまめに管理をしている物件では築年数が古くても設備や美観を十分に維持することができます。
また、十数年に一度は屋根や外壁の修繕を行う「大規模修繕」を行う必要があることが建築基準法で義務付けられています。

賃料が高い

同じような床面積や設備でも、賃料が安い物件の方が入居者は集まりやすいものです。
そのため、入居者が集まりにくい物件を所有するオーナーは賃料を見直して空室を減らすことも検討しましょう。
近隣エリアの賃料を参考に、入居者が集まりやすい適正価格を設定することが重要です。

ターゲットが合致していない

多くの賃貸物件が建てられているエリアでは、ほかの物件との差別化が図りにくいものです。
そのような場合、ペットを飼いたい入居者や外国人労働者を対象にするなど、ターゲットを見直してはいかがでしょうか。
ターゲットの幅を広げることで、これまで認知していなかった人に物件を知ってもらえる可能性があります。

物件情報が古い

不動産業者では、日々多くのお客様が出入りし、さまざまな物件のチラシやパンフレットを手渡しています。
不動産業者は入居者を決めた分からインセンティブを取得するため、決めやすい物件から案内するものです。
そのため、しばらく物件の情報を更新していなかった場合、最新の情報を掲載することで内見希望者の増加が期待できます。

空室対策が重要な理由とは?

近年では、人口の減少により空室となる賃貸物件が多くなっています。
賃貸物件を所有しているオーナーは空室が増えるほど収益が減り、日常生活を圧迫してローンの返済が難しくなります。
金融機関とローン契約を結ぶ際、オーナーは入居者の賃料で返済することを条件とします。
しかし、入居者が少なく賃料で返済できない場合、オーナーの預貯金からローンを支払う必要があります。
このような理由から、安定した収入を得て生活を圧迫せずにローンを返済するためには、空室を減らすことが重要であると言えます。

効果的な空室対策とは?

効果的な空室対策とは

こちらでは、効果的な空室対策をコスト別にご紹介します。

空室対策【無料・低コスト】

無料・低コストでできる空室対策には募集条件の緩和・ニーズの見直しや内見時の対応、フリーレント物件の導入が挙げられます。

募集条件の緩和・ニーズの見直し

先述した通り、ターゲットを見直すことによって募集条件の緩和やニーズを改善することも空室対策のひとつです。
これまで条件に合致していなかった人にも自分が所有する物件を見てもらえるため、空室を減らせる可能性があります。
一方、緩和した条件で入居した入居者と既存の入居者間でトラブルが発生する懸念がある点には注意が必要です。

内見時の対応(現地対応や内見時の共用部分の掃除)

入居希望者は、内見する物件が汚かったり対応窓口の愛想が悪かったりすると、入居をためらってしまうものです。
そのため、いつ入居希望者が来ても対応できるように、マンション内は常にキレイな状態を保つようにしましょう。
また、オーナーが直接対応する場合は挨拶や聞き取りやすく話すなど、入居希望者が気持ちよく話せるように努めることが重要です。

フリーレント物件の導入

フリーレントとは数ヶ月分の家賃を0円にするサービスで、近年入居者を集める方法として多くの物件で採用されています。
一般的にフリーレントで退去する人は少ない傾向にあり、実質値下げをしていることから入居希望者はお得感を得ることができます。
一方、家賃を値下げしてしまうと、フリーレント後の収益も減額してしまう点には注意が必要です。

初期費用などお客様の負担を減らす

入居希望者の課題として、敷金や礼金といった初期費用が高額であることが挙げられます。
近年では空室対策の一環として、敷金・礼金を0円にする「ゼロゼロ物件」が多くなってきました。
しかし、敷金を0円にした場合は、家賃を滞納された際や退去時の原状回復費用を入居者に請求する必要がある点には注意が必要です。
家賃保証会社への加入を必須にするなどの対策をすると良いでしょう。

空室対策【中コスト】

空室対策のなかには、数万円から数十万円といった中程度のコストを掛けることで入居者を募る方法があります。

セキュリティ対策の強化

近年では、女性の社会進出により一人暮らしを行う女性も多くなりました。
女性の一人暮らしではマンション内外の設備だけではなく、不審者の侵入を防ぐ強固なセキュリティ対策が重要です。
特に、人通りが多い物件を探す女性の入居希望者は、防犯面に不安がある物件を避ける傾向にあります。

人気のある機能や設備の導入

最近の生活スタイルを送るうえで人気の設備には、無料のインターネット環境や宅配ボックス、浴室換気乾燥機といったものが挙げられます。
これらの設備は積極的に利用する方がいらっしゃる一方、ほとんど利用しない方もいらっしゃいます。
また、既存の入居者の年齢層や性別などによっては、人気がある設備を利用しない方が多いこともあるでしょう。
そのため、オーナーが所有する物件によって最適な設備を設置することが重要です。

空室対策【高コスト】

数十万円から数百万円以上の費用が必要な高コストの空室対策には、室内外の構造を大きく変えるものが含まれます。

リフォーム・リノベーション

築年数が古い物件は、リフォームやリノベーションを行って見た目や設備の改善を行うことも入居者の募集に有効な手段です。
混同されがちな言葉ですが、リフォームは内装をリニューアルして、見た目をキレイにすることです。
リノベーションは既存の建物を利用して、新たな機能や価値を加えることを指すもので、いずれも規模によって価格が変動します。
物件を大幅に改装するリフォームとリノベーションにより、借り手が付かなかった物件に多くの募集が集まった事例があります。
一方、リフォームやリノベーションをすると、どのくらいの賃料アップが見込めるのか、事前の市場調査も重要です。

外壁塗装

賃貸マンションの外壁は長い年月雨風にさらされることにより、塗装がはがれたり機能が劣化したりします。
入居希望者は第一印象で住みたい・住みたくないということを判断する方が多いため、外壁の状態は入居者増加に関する重要な要素のひとつです。
一方、外壁塗装は大規模修繕となるため、高額なコストが求められます。
そのため、外壁塗装実施する際は、オーナーの資金源や劣化状況などを確認し、慎重に検討しましょう。
数部屋単位で所有している場合は該当しませんが、棟単位で所有している場合は検討の余地はあるかもしれません。
一般的なオーナーはコスト面から、外壁塗装は最後に実施するという方が多いようです。

駐車場・駐輪場の完備

長年入居している方のなかには、結婚や出産などによってライフスタイルが大きく変わる方がいらっしゃいます。
そのような方々は自動車や自転車を購入し、買い物や息抜きなどに出かけることが多くなるものです。
そのため、マンションのオーナーはさまざまなニーズに応えられるように、駐車場や駐輪場の設置を検討しましょう。

注意したい空室対策

注意したい空室対策

空室対策にはさまざまな方法がありますが、なかには推奨できないものもあります。
こちらでは、注意するべき空室対策をご紹介します。

相場よりもかなり低い家賃設定

家賃を安くするほど入居者が集まりやすくなるため、周辺の物件と比較して家賃を見直すオーナーは多くいらっしゃることでしょう。
しかし、入居者を集めるために周辺の物件相場と大きく離れた価格に設定してしまうと、収益が減少してしまいます。
また、家賃は一度下げると後で上げるのは難しいため、継続して低収入となる可能性があります。
そのため、家賃を変更する際は慎重に検討しましょう。

リスクを想定していない条件緩和

賃貸物件を管理するオーナーは、入居希望者の年齢や収入などを確認するため、審査を行います。
審査内容が厳しいほど入居できる方が限られるため、審査条件の緩和を検討する方もいらっしゃることでしょう。
しかし、緩和された条件で入居した方が近隣トラブルを起こしたり、家賃の未払いといったリスクを引き起こしたりする可能性があります。
そのため、条件を緩和する代わりに敷金を増額する、保証会社加入を求めるといった対策などを取るようにし、リスクを軽減しましょう。

おわりに

本記事では、賃貸経営において重要な要素である空室対策について、原因と対策を解説しました。
空室はオーナーの収益に関する重要な課題で、可能な限り入居者数を増やして長く入居してもらうための対策が必要です。
空室対策には、条件緩和や内見時の対応といった無料で取り組めるものから、セキュリティ対策や外壁塗装といったコストが必要なものまでさまざまな種類が含まれます。
自分が所有する物件に合った最適な空室対策を行い、多くの入居者に集まってもらいたいものです。

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